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ギャラリーヴァルール(愛知)
2017年5月9日(火)〜6月10日(土)










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芸術の純粋性は、特定の芸術におけるメディウムの限界を受け入れる。それも進んで受け入れることにある。クレメント・グリーンバーグは「さらに新たなるラオコオンに向かって」の中で、文脈が自己批判的に推進する仕組みをこのように示唆している。例えばモダニズムとポップの、絵画においては地と図の、あるいは苦悩と快楽の、凹んだ型がゼリーそのものの形となるような相対的な関係として、既存の枠組みの限界が、新たな流れの受け皿となる。

今日においては、グローバリズムの台頭と共に、ポストメディウム的状況といった新しい流れが、日本という独立した状況に注ぎ込まれたとき、洋の東西という大きな枠組みに象られる特殊な形態のアートシーンが浮かび上がった。私の画家としての立ち位置は、その出来事を契機として、更に反転する作用として、現在に冷え固まりつつあるものだ。

今回、このような状況の一つの始祖として、かつてマーク・ロスコが残した「美術作品のレシピ」から、展示のタイトルを起用してみたいと思う。作家の訓戒のような、成分と作り方・その公式が記述されているそれは、難解な内容よりむしろ時代に調理されつつも抗う小さき画家として苦闘するロスコそのものの姿が「レシピ」という言葉に滲む。

60年ほど前の答えが今日に有効であるとは思わないが、今一度、今日の表現の根幹を掘り起こし見つめ直すべき直感がある。色彩と筆致と絵の具といった絵描きとしての当然に改めて目を向けること、葛藤にむしろ身を投じるような粗野な表現への追求が、私の中で強く沸き上がっている。

2017年5月 門田光雅


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