アートプログラム青梅2013雲をつかむ作品たち  
青梅市立美術館 (東京)
2013年11月2(土)-12月8日(日)



作家たちがつくる作品がわかりにくいとはよく言われることだが、一般の人々からすれば当然のことである。と言うのも、日常の生活の中では、その日の天候や電車の運行状況、毎日の食事や健康のことなど、ごく具体的な事柄が関心事なのだから。
しかしアーティストは、生活者としての日常は送っていても、心の中心を占めているテーマは、日常の地平に留まるものではない。たとえ日用品を素材にしたとしても、通常見慣れない組み合わせを試みたり、在り得ない場所に持ち込んだり、意識して日常の平衡感覚を狂わすような表現をする。それらの行為は、いたずらに混乱させようとしているのではなく、現段階で成り立っている通念にとらわれることなく、新たな視点を獲得ようとする姿なのだ。
たとえば光。 そこに(陰)影があるから光を感じ、一方に闇があるから明るさを見ているのだろう。また、太陽や蛍光灯などの発光体からの刺激を光として感じているが、光そのものは目にしていない。少なくとも、指先で摘まんだり手で掬ったりできない。案外、大事なものは、感じられても見えないのである。
ここに参集した表現者たちは、一見してわかりにくい雲をつかむような事柄を、作品を介して感じられるように、独自の方法で、なんとか目に見えるようにしようとしている。


大橋紀生


×