HETEROKAYON 展
2008年4月17日(木)―4月27日(日)
youkobo ART SPACE(東京)


< HETEROKARYON >
youkobo ART SPACE,Tokyo
Apr.17(Thu) - Apr.27(Sat), 2008


ヘテロカリオン

「ヘテロカリオン」とは日常では聞きなれない生物学上の言葉である。細胞の内に核が二つ以上ある現象、一つの殻に二つ以上の魂が宿る状態といったイメージ。SFの世界のようなこの出来事は菌類などの原始生物に比較的よくみられるようだ。そういえば南方熊楠も粘菌と霊魂の研究をしていたことで妙な納得をする。原始的な生命の根源に近しい曖昧模糊な存在にはこのような超常的な能力があることは実に興味深い事実であった。存在の輪郭が柔軟であるほど何か異なる世界が入り込んでくるのかもしれない。
日常的でないと言えば、私たちは古来より目に見えぬもの、不確かなものを畏怖してきた。飛び梅、夜鳴き石、九十九神。数多の伝説や神話が存在する日本は様々な事物を依り代にして神霊や妖怪が溢れる国ではないだろうか。逆説的に捉えれば、闇に潜むものを畏れる感情は私たちの祖先が持っていた豊かな精神性の証明の一つでもある。しかし、時代の変遷と共に科学の力の発達(?)によって神霊の世界はねじ伏せられていき、その存在の居場所は無くなって行った。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」、現代にはオバケは枯れたススキにしかならない。畏れが喪失し、抑制なき今日に更なる利便性と安定を追及する欲望の闇が際限なく広がっていくとき、その黄昏の中に潜んでいるものは何であるのだろうか。

HETEROKARYON

In reality, what we are able to understand of the world is limited to very superficial phenomena. We can never, for example, hope to fully grasp the existence of the roots of a great oak tree lying deep beneath the ground that sustain the thick foliage above. In some primitive organisms such as fungi, the unique existence of cells with two nuclei, so called `heterokaryon', has apparently been discovered. In the enshrouding hustle and bustle of today, it is in our inability to reach this pure order of life that I keenly sense the emptiness and fragility of this age.

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